川崎マイコンシティの一角に建つ、第三者認証機関のEMC試験所。
ここには大小5つの電磁波遮蔽ルームを包含しています。電磁波遮蔽ルーム自体は特殊なノウハウを必要とするため専門メーカーが設計施工、私たちはそれ以外の部分と建物全体を設計することになりました。

5つのEMC試験室は、複数のメーカーが同時に利用します。また、異なる試験室への移動も頻繁に行なわれます。 開発中の電気製品を扱うため、試験体が競合メーカーの目に触れることなく、様々な試験を行えるような動線計画が求められました。

また、この試験所は夜間でも稼動するため、遠景からの夜の視認性はとても重要でした。
そこで、看板にネオンを入れたり水銀ランプであからさまに照らし出すのではなく、内部階段の照明によって、内部のロゴマークが日が暮れるにつれて、徐々に浮かび上がる計画にしました。

EMC試験とは、電気製品が外界の電磁波の影響を受けて機能障害を起こさないか、逆に電磁波を発生して他の電子機器の誤作動を招いたりしないかを試験するものです。
判りやすい例で言えば、携帯電話が医療機器に対して悪影響を及ぼすと言われていますが、従来の医療機器はそういった試験を行っていないからだそうです。
これからの電気製品は、開発段階でEMC試験を受けたものが高品質の製品として市場に登場してきます。 そういった意味で、社会貢献度の高い試験施設であり、その施設づくりに参加できたことは、私たちにとって、光栄なことでした。